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第4回 言語聴覚療法技術セミナー

2021年03月20日(日)第4回言語聴覚療法技術セミナー 開催報告
「摂食嚥下訓練における姿勢調整-何を求めどう調整するか-」

 第4回技術セミナーは、「摂食嚥下訓練における姿勢調整-何を求めどう調整するか-」というテーマで開催いたしました。 全国から262名という大変多くの先生方にご参加いただき、ご質問もたくさんいただきました。姿勢調整に対する関心の高さが伺えました。本当にありがとうございました。
 臨床の中で体幹や頸部の姿勢を変える場面は多くありますが、そのアプローチを行う目的や有効性を講師の柴本勇先生(聖隷クリストファー大学教授)が実演しながら具体的に解説して下さいました。 開催にあたり、臨床に近い環境を設定するために、ベッドや車椅子、テーブルを準備し、体幹や頸部の姿勢の違いによる変化を参加者に分かり易く伝えられるように工夫しました。 ご参加いただいた先生方から「ベッド上、リクライニング車椅子上での各角度でのメリット、デメリットが詳しく分かったのですぐに臨床に活かすことが出来ています。」 「実技を見せて頂いたので、患者様への声のかけ方や、頭頸部を介助するタイミングがよく理解できました。」とのコメントをいただき、うれしく思っています。
 今回のセミナーでは定員をはるかに超えるお申込みをいただき、すべての方に受講していただくことができない状況となりました。 ご期待に沿えず大変申し訳なく思っております。追加セミナーを企画しておりますので、多くの方にご参加いただければと思います。
 今後も臨床に役立ち、治療技術の向上に繋がる活動を行って参りたいと思います。


第4回言語聴覚療法技術セミナーを受講して

JCHO京都鞍馬口医療センター 
坂田 理恵子 先生 

 第4回技術セミナーは「摂食嚥下訓練における姿勢調整 –何を求めどう調整するか-」というテーマでした。 前半は配布資料に沿って、各リクライニング位・一側嚥下法・完全側臥位法のねらいと長所・短所や、頭部屈曲位と頸部屈曲位の違い等を確認しました。 体幹角度によって咽頭圧・UES圧が変化するという文献の紹介、また柴本先生の研究結果から頸部姿勢によって舌圧が異なるという興味深い事実を知り、体幹・頸部姿勢を意図して行う重要性を改めて認識しました。 後半は実技演習として、柴本先生が姿勢調整のデモンストレーションをして下さり、臨床場面をイメージしながら学ぶことができました。 頭部屈曲位と頸部屈曲位の頸部姿勢は、理論は分かっていても患者様に意図通りに行えているのか不安がありましたが、頭と肩の位置から見極めるポイントを教えて頂き、大変分かりやすかったです。 またSTが頭部を支えた状態で、口腔期から咽頭期へと頸部姿勢を変えながら嚥下を誘導していく方法を知り、早速臨床で実践しています。誘導する際の柴本先生の声掛けやタイミングは、患者様の自然な動きを妨げることなく導いておられ、教科書では決して知ることのできない貴重な学びとなりました。
 これからも本セミナーを通じて研鑽を続けたいです。臨床で迷ったり悩んだりする日々ですが、多くの方がセミナーに参加されていて、同じ志を持つ方がこんなにおられるのだと心強く、明日からの励みになりました。


研修会開催報告


ご質問への回答

第4回技術セミナー(2021年03月20日開催)ご質問への回答

背中から頸部に背もたれがない車椅子で食事すると、筋緊張が高くなってしまいます。そのため床上での摂食を勧めようと考えています。ご家族の希望は車椅子上で摂食されることですので、車椅子の変更も試したいと思います。その他考えられる対応方法がありましたらお聞かせください。

頸部前屈が困難な場合はどうしたらよいでしょうか?

今回のご講義内容(摂食姿勢)に関して、先生が推薦されるテキストがありましたら、教えてください。

講義当日の質問に対する回答を共有していただけないでしょうか。

研修では摂食嚥下一連の流れに沿って頸部角度調整をされる場面がありました。ご紹介頂いた方法を行った場合、嚥下機能の回復はどの程度見込めますでしょうか?

喉頭挙上範囲縮小による食道入口部開大不全や、嚥下時の咽頭圧低下によって、咽頭残留の患者様がいらっしゃいます。誤嚥予防で咽頭腔拡大を選択するか、咽頭残留軽減の為に咽頭腔狭小を選択するかはどのように考えたらよろしいでしょうか。

唾液が咽頭貯留している方に対して、直接嚥下訓練及び間接嚥下訓練を行う上での推奨される姿勢について教えてください。

一側嚥下法と完全側臥位法の違いについて教えて頂けないでしょうか。

頸部回旋嚥下法は片麻痺でも行うことが可能でしょうか?禁忌事項などあれば教えて下さい。

頭部屈曲位についてです。 講義の中で頭部屈曲位は健常者にとって嚥下しにくいとお話しがありました。 咽頭腔が狭くなるのは理解しました。以下の点はいかがでしょうか。
① 健常者で嚥下しにくいのであれば、 高齢者ではより嚥下しにくくならないでしょうか?
② 頭部屈曲位とは、顎を胸部につける姿勢で合っていますしょうか?
③ これまで頭部屈曲位は喉頭挙上を阻害すると認識しておりました。その為頭部の角度は3横指が良いと思っていました。
④ 顎を胸部につける姿勢(頭部屈曲)のデメリットについてはいかがでしょうか。
⑤ 自身が頭部屈曲位で嚥下すると喉頭挙上が制限されている感覚があり、嚥下時に咽頭残留します。なぜでしょうか?

頚部伸展位の方への代償方法等あれば教えていただきたいです。

複合屈曲位について詳しく教えて下さい。

VFが出来ない施設の場合、食物の流れや咽頭の動きなど、どのように判断してアプローチや姿勢を選択したらよいでしょか。

患者さんに適した摂食姿勢か否かの評価はどのくらいのスパンで行うべきでしょうか。1食の評価でよいか、それとも何日か観察し検討すべきでしょうか。

資料に黄色い丸がついておりました。足底の位置について教えてください。

嚥下圧が高いか低いかについて臨床でどの様に評価されているのか教えてください。

頸部伸展位ではUESの開大幅が構造的に減少する可能性があると説明がありました。その分嚥下時のUESの通過障害というものは起こりますでしょうか。

複合屈曲位では上部咽頭腔が狭まり、下部咽頭腔が拡がるという理解でよろしいでしょうか。

高齢の患者様で、リクライニング車いすで自己摂取する際に腕の耐久性がなく、肘に枕を入れることがあります。また、リクライニング車いすに付属させるテーブルだと肘が固定されますが、テーブルの位置が低く、どちらも食べにくそうで、何か良い方法があればご指導ください。

頸部伸展位のまま拘縮している方に対して、ベッド上で代償的に取れる姿勢はありますか?

頸部が拘縮している患者様の頸部角度調整の工夫点があれば教えてください。

テーブルの高さについて、高齢者施設で使用しているテーブルは70cmと、高齢者の特に女性には高すぎることが多いです。

認知機能低下などの影響により先行期嚥下機能低下の患者様では、体幹30度の姿勢が食事中という状況が把握できにくいのか、口腔期、咽頭期に影響している印象があります。舌運動が誘発されない、誤嚥につながりやすいなどが生じないでしょうか。こういった場合にはどのような環境調整が有効でしょうか?

テーブルの高さについて、高齢者施設で車いすのアームサポートの高さにあわせていましたが、それは低いでしょうか。

一側嚥下では体幹角度を徐々に上げ座位に近い姿勢にしていきますが、完全側臥位ではどのように段階的に姿勢を変更していくのでしょうか?病棟での食事を完全側臥位で早期に導入し、ST訓練内のみで徐々に姿勢条件を変更していくのでしょうか?

手で頭部を支え、口腔内保持を促した後にやや伸展させ、嚥下の直前に再度屈曲を促すという介助を早速実践したいと思います。類似の手技を実践したことがあるのですが、嚥下の直前に屈曲のタイミングがうまく合わないことがありました。屈曲させるタイミングにコツがあれば教えていただけますと幸いです。




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