「運動負荷の可視化」
発生発語官の運動訓練についてsEMGを用いて客観的に観察する
内容
言語聴覚士が構音訓練や嚥下訓練などの臨床で日々行う発声発語器官の運動訓練は,『過負荷を基本とする』と教科書などで示されています.加えて,『速筋繊維には高負荷を短時間,遅筋繊維には低負荷を長時間実施する』などの記載も散見されます.しかし,実際の臨床では,可視化することがなければ負荷のかけ方は明確になりません.例えば咀嚼訓練はどのようにすると過負荷となるでしょうか.言語聴覚士の多くが行う舌骨上筋群のレジスタンストレーニングは方法が多数開発され報告されていますが,それぞれの方法がどの程度の筋活動であるかは,まだ十分示されているとは言えません.現状においては,患者様本人が実施しやすい方法や言語聴覚士が提供しやすい方法で行われているのが実情であると思われます.臨床推論を明確にして実施される現代のリハビリテーションにおいては,更なる情報が必要かもしれません.
加えて,私たち専門職が提供するリハビリテーションは,科学的理論に基づき客観的にその効果を確認しながら行われることが求められます.それが,確実な訓練成果に繋がり,コミュニケーション活動や食べる活動やその支援へとつながるはずだからです.患者様自身もそれを望まれているはずです.
今回は,前回の技術セミナーで好評頂いた「表面筋電計」を用いて,発声発語器官や嚥下関連器官の運動訓練の負荷に焦点を当ててその可視化も含めて皆さまと一緒に学びたいと思います.表面筋電計は,筋電計測や分析によって様々な筋活動情報が得られますが,今回はモニタリングとして用いて,参加者の皆さまが臨床活動で行っておられる運動負荷と実際の筋活動との関係を観察しご覧頂く予定にしています.
講師 柴本 勇 先生(聖隷クリストファー大学)