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第3回 言語聴覚療法技術セミナー

2020年11月15日(日)第3回言語聴覚療法技術セミナー 開催報告
「摂食嚥下訓練のスキルアップ - 嚥下表面筋電バイオフィードバック訓練を知る - 」

 第3回技術セミナーは、前回と同様Zoomによるオンライン形式で開催いたしました。全国から55名の先生方にご参加いただきました。本当にありがとうございました。

 今回のセミナーは、「嚥下表面筋電バイオフィードバック訓練を知る」というテーマで開催いたしました。これは、第2回技術セミナー「摂食嚥下訓練の実際~自身の嚥下訓練手技を運動学的視点から検証しよう~」の開催後、多くの方からご要望いただいたテーマでした。講師の柴本勇先生(聖隷クリストファー大学教授)が機器の使い方や適応、訓練方法などについて、実演しながら具体的に解説してくださいました。

 筋活動をフィードバックする効果は、単なる筋力強化にとどまらず、安全な嚥下方法の確認や定着に役立ちます。今回は、その実演をZoomでいかにスムースにわかりやすく届けられるかがスタッフのタスクとなりましたが、ご参加いただいた先生方から「手元がupで見え、もしかすると対面講義よりZoomの方が見やすかったのでは、と感じました。」「具体的な方法や指示の仕方がよくわかり大変勉強になった」等のコメントを頂き、ホッとしたと同時に非常にうれしく思いました。ありがとうございました。

 今後も臨床に役立ち、治療技術の向上に繋がる活動を行って参りたいと思います。


受講された先生から ご感想

第3回言語聴覚療法技術セミナーを受講して

医療法人来光会 尾洲病院 
斉藤 愛 先生 

 この度、2020年11月15日に開催されました聖隷クリストファー大学の柴本勇先生による嚥下表面筋電バイオフィードバック訓練についてのオンラインセミナーに参加させていただきました。

 「筋電・筋電図」、「正常嚥下のメカニズム」という概要から始まり、摂食嚥下訓練と表面筋電バイオフィードバックの歴史、また実際の機器の紹介や操作方法など一連の流れで講義が進んでいき、バイオフィードバック訓練に精通していない私でも興味深く学べる内容となっていました。

 現在コロナ禍という特殊な環境下である中、実技時間では録画されたものの配信ではなく、柴本先生が被検者の方に機器を設定、教示、操作されている場面の投影配信であり、リアルタイムでのならではの臨場感やわかりやすさを感じることができました。講義は終始先生の丁寧で細かい臨床場面、また色々な工夫をこらしながら楽しんでいく情熱の高さを感じることができました。また講義に使用されているテキストは丁寧に作りこまれており、わかりやすく、こちらの資料を配布して頂けるだけでも参加の意義は高いと感じました。

 集合集会が難しい昨今、セミナーの在り方やわかりやすさ、そして興味の惹きつけ方など提供する側は頭を悩ませる部分も大きいかと存じます。その中でこの度の講義は、大変興味深く、時間が経過するのも早く感じ、臨床現場での探求心や知識欲へと繋がりました。

 このような貴重な機会を与えて下さった言語聴覚療法研究会の先生方に深く感謝致します。


研修会開催報告

ご質問への回答

第3回技術セミナー(2020年11月15日開催)ご質問への回答

1.表面筋電バイオフィードバック訓練装置で筋電の数値化は可能でしょうか。個人間等で比較できる標準化されたデータベースはありますでしょうか。

 表面筋電は、筋収縮に至る過程である、神経筋接合部から筋に至る神経伝導によって筋繊維に脱分極が生じる際に発生する膜電流を捉えています。微弱な電流を増幅して表示しています。したがって、各個人では各々の神経伝導や膜電位が違うが故、標準的な筋電図や標準化というのは表現しづらいです。個人内でも、運動方法や運動強度などでも異なります。そういう意味では、Aという患者さんの筋電とBという患者さんの筋電を単純に比較することが困難です。そういう背景もあり、筋電で集団や被験者間での比較には、整流化と正規化の処理をして%MVCや%RMSなどを用いています。ただ、表面筋でバイオフィードバック訓練装置は、積分筋電図(integrated electrogram: iEMG)が用いられることが多く、積分筋電図の値を数値化することは可能です。しかし、表面筋電バイオフォードバック訓練は行動変容のレベルで捉えることが多いため、フィードバックに重きが置かれることが多いと思われます。嚥下訓練に特化した表面筋電バイオフィードバック訓練の効果については、日本でRCT、Case Control Study、Cross Over Trial等が行われていませんが、講義資料に海外での効果判定結果について記しています。日本での訓練効果判定が早急に行われることが望まれます。訓練効果判定には臨床施設の支援が必要です。興味を持っていただきました皆様にはぜひ研究会の研究支援へのご登録をお願いしたいと存じます。


2.電極が少しでもずれると正確に測定することが困難となりますでしょうか。

 表面筋電は個々の筋繊維の電流ではなく運動単位(Motor Unit)での電流を捉えています。加えて、各筋は多くの運動単位から構成されています。電極間距離によって、その範囲が異なります。すなわち、表面筋電は針筋電と異なり、もともと個々の筋繊維の膜電流を捉えることができていません。そういう背景で、針筋電ほど厳密な位置を特定することが難しいことになります。この点は、表面筋電図の限界といえます。今回は、訓練の1つとしての提案です。それも、行動(運動)の訓練です。運動に着目している訓練ですので、その運動がフィードバックできる筋電位が捉えられることが大切と考えます。舌骨上筋群の場合、例えばオトガイ舌骨筋と顎二腹筋では筋走行が異なります。電極の貼付位置でどちらかの筋電位を多く捉えているということはあり得ます。しかし、喉頭挙上、下顎運動、舌運動において、オトガイ舌骨筋も顎二腹筋も活動することに変わりありません。このように、表面筋電図を用いたフィードバック訓練では個々の筋よりも、運動すなわち喉頭挙上、下顎運動、舌運動という単位で捉えて頂く方が現実的と思われます。舌骨上筋群に対する表面筋電バイオフィードバック訓練では、舌骨上筋群を捉えるということが必要ですが、舌骨上筋群の範囲の中での電極位置のずれは訓練に大きな影響を与えるものではないと考えます。逆に舌骨上筋群の中でも求める運動によっては、オトガイ付近や舌骨付近というようにターゲットによって電極貼付位置を変更することが考えられるかもしれません。


3.表面筋電バイオフォードバック訓練は非常に有用な訓練と思いましたが、理解できる方が限られないでしょうか。

 恐らく意図的に自身の随意嚥下に変化を持たせるための訓練は制限を受けるかもしれません。しかし、嚥下の表面筋電バイオフィードバック訓練は、そればかりではなく、他動訓練も含めた単純なストラテジーによる筋力増強訓練、嚥下反射の確認などセラピストへのフィードバックも可能な訓練方法です。今回使用した機器はLEDの点灯による視覚フィードバックと音による聴覚フィードバックです。認知機能や言語機能が自身のみで日常生活動作が全くできないなど相当低下していなければ、全く理解できないということはありません。加えて、嚥下訓練に機能回復訓練や代償的訓練がありますが、これらは認知機能障害や言語理解障害が存在すればどれも殆ど実施困難な訓練です。そのような方は環境調整に重点を置きます。環境調整が適切か否かを判定するのにも表面筋電図を用いることもできます。下顎運動、舌運動、嚥下運動を筋電図でモニターし、環境設定によって筋活動が十分であることを確認することが、環境設定の適否を判断することにつながります。そのような場合、表面筋電バイオフィードバック装置は有効活用される使用可能な機器といえます。結論としては、機器の使い方次第で、患者さんが理解している状況であろうとしていない状況であろうと、表面筋電バイオフィードバック機器の活用は十分可能と考えます。




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