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第2回 言語聴覚療法技術セミナー

2020年8月9日(日)第2回言語聴覚療法技術セミナー 開催報告
「摂食嚥下訓練の実際~自身の嚥下訓練手技を運動学的視点から検証しよう~」

 第2回技術セミナーは、3月開催の予定が新型コロナウィルス感染症拡大の影響により8月に延期となりました。 当初は集合研修を予定していましたが、感染拡大防止の観点からウェブセミナーに変更となりました。 私たちスタッフもzoomでの開催が初めてであり、実技の様子をいかに受講者の皆さんに分かり易く伝えることができるか検討してきました。

 当日は175名の方に全国から参加いただき、無事に開催できたことにスタッフ一同感謝の気持ちでいっぱいです。 「摂食嚥下訓練の実際 ~自身の嚥下訓練手技を運動学的視点から検証しよう~」というテーマで柴本勇先生に講演していただき、「嚥下訓練の手技の運動そのものが目的に合致しているか」、「具体的に何を目的としているか」をお話しいただきました。 受講された先生方からは、評価や訓練を行うための知識を深められたという声をたくさんいただきました。 また、セミナーで柴本先生が用いられた表面筋電フィードバック機器の使用方法や訓練手技に関する講習について大変多くの要望をいただきました。 今後、早い時期の開催に向けて準備を進めたいと考えております。

 今後も言語聴覚療法の技術の向上に役立つセミナーを開催できればと考えております。


受講された先生から ご感想

第2回言語聴覚療法技術セミナーを受講して

名古屋大学医学部附属病院 
小山 恭平 先生 

 2020年8月9日に開催された聖隷クリストファー大学の柴本勇先生による講義を受講させていただきました。コロナ禍という特殊環境のため実技を含めzoomでの受講となりましたが大変充実した内容でした。普段行っている嚥下訓練の質について、研究内容やsEMGを使用したバイオフィードバックを行いつつ教示頂き、非常にわかりやすい内容でした。私自身も中堅の年数となり、新人教育において訓練の質の指導に非常に難渋した経験は一度や二度ではありません。そんな中、本当に貴重な資料呈示およびわかりやすいご指導は、今後の臨床のみならず後進指導にも役立てたい内容ばかりでした。

 私は病院移動を経験したことがある身であり、施設によってはVF、VEといった精査やsEMG、舌圧測定器などといった機器が使用できない経験もしてきました。訓練においての様々な影響がどの程度の効果を生み出す(もしくは阻害な因子になる)かについては、訓練を担当するセラピストとして視て経験することは必須と考えております。ただ患者様に適したトレーニングを選定するだけでなく、そのトレーニングをいかに患者様に落とし込んで質を高めていけるか。効果を効率的に狙ったようにだせるか。など見ることでイメージでき、効果的な訓練へつなげていけると考えているため、訓練のあり方について再考できる貴重な時間となりました。

 昨今の情勢から、移動や直接出会うことにリスクを抱える難しい状況のなかで、このような貴重な機会を与えてくださった言語聴覚療法臨床研究会の先生方に深く感謝いたします。


言語聴覚療法技術セミナー
「摂食嚥下訓練の実際~自身の嚥下訓練手技を運動学的視点から検証しよう~」
を受講して

和歌山県立医科大学付属病院 
野瀬 麻里 先生 

 2020年8月9日、聖隷クリストファー大学の柴本勇先生に、上記のテーマでご講義いただきました。 今回の研修会は、新型コロナウィルス感染防止のため、ZOOMを使用してのオンライン セミナーでしたが、約180名の先生方がご参加されており、直接集うことは出来なくても、 学びの場を共有できることを心強く嬉しく感じました。講義中には、説明いただいている訓 練手技をパソコン画面の前で試したり、舌挙上訓練で舌位置を綿棒でガイドするというお話の時には綿棒を取りに走ったり、自宅参加ならではの面白さもありました。

 講義では実際に表面筋電計を装着した状態で嚥下訓練を行い、良い例とそうでない例で比較しながら舌骨上筋群と胸鎖乳突筋の筋活動を見ることで、意図する運動が行えているかを確認しました。努力嚥下やメンデルゾーン法では、「強く飲んで」や「喉頭を一番高く上がったところで留めて」というよりも、運動を分解して一つ一つ具体的な運動方法を伝えるほうが効果的であるというお話が印象的でした。

 日々の臨床場面では筋電計のような可視化された評価を都度実施できるわけではないので、今回の講義は、教示や姿勢・角度による筋活動を調べながら訓練の根拠を再確認できる機会となりました。患者様とよく行う訓練手技も、振り返り再考することが効果を高めることにつながると感じました。

 貴重なご講義をいただきました柴本先生、研修会を企画・ご準備くださった言語聴覚療法研究会の先生方、誠にありがとうございました。


研修会開催報告

ご質問への回答

第2回技術セミナー(2020年8月9日開催)ご質問への回答

1.舌骨上筋群筋力向上訓練の訓練負荷量の考え方を教えて下さい。

 舌骨上筋群は、最大開口時に最も活動すると言われています。 言語聴覚士がターゲットとしているのは、嚥下時の筋活動です。 嚥下時は、最大開口時よりも筋活動が少ないため、最大開口と同等の筋活動を訓練負荷量のターゲットとすれば嚥下時の訓練となります。 また、筋力向上には過負荷の法則を原則とします。ご本人にとって若干負荷がかかる方がよいと思います。ただし、疲労には十分注意をします。 実施回数について、Shaker法は原法で ① 60秒間頭部挙上を保持その後 60秒休憩を 3回繰り返す(Isotonic 運動)、② 頭部の上げ下げを 30回繰り返す(Isometric運動)。 ①・② を1日 3回行い 6週間実施と示されています。嚥下おでこ体操は、①持続訓練として 5つ数えること、② 1から5までを数えながら合わせて下を向くように反復的に力を入れることが推奨されています。 開口訓練については、開口位で 10秒間保持し 10秒間休憩。これを 5回 1セットとして 1日 2セット 4週間行うと示されています。
 表面筋電バイオフィードバックを用いた訓練では、最大筋力の60%~70%を初期ターゲットして徐々に負荷量を上げていくとよいでしょう。

【参考文献】
・Shaker R, Kern M, Bardan E, et al: Augmentation of deglutitive upper esophageal sphincter opening in the elderly by exercise, Am J Physiol, 272 (Gastrointest Liver Physiol 35): G1518-G1522, 1997.
・岩田義弘,寺島万成,長島圭士郎,他:高齢者に対する頸部等尺性収縮手技(chin push-pull maneuver)による嚥下訓練─自己実施訓練の効果─,耳鼻,56:S195-S201,2010.
・Wada S, et al: Jaw opening exercise for insufficient opening of upper esophageal sphincter, Arch Phys Med Rehabil, 93: 1995–1999,2012

2.訓練適応を教えてください。指示理解ができない方は訓練適応でないでしょうか。

 表面筋電バイオフィードバック訓練は、本人が知覚フィードバックを得ながら正しい運動や行動を行うことによって、筋力強化や運動学習を行う方法です。ある程度、指示に従え訓練の目的が理解できることが求められます。しかし、時に指示に従えなかったり訓練内容や目的が理解できなかったりする場合があります。そのようなことを想定して、今回は言語聴覚士がターゲットとする訓練を確実に行う方法として実演を示しました。セミナーで実演した言語聴覚士が筋活動を確認しながら訓練を行う方法では、言語聴覚士自らターゲットとしている筋活動をモニタしながら言語聴覚士に対してフィードバックする方法ですから、患者様が訓練方法を理解しなくても実施することができます。セミナーで実演した方法は、表面筋電バイオフォードバック訓練が難しい方でもできる方法という意味で紹介しています。


3.舌挙上訓練でポイントを示す場所を教えてください。

 セミナーで行ったことは、舌骨上筋群のみ活動させる方法です。より効率よく確実に訓練効果を得るためのポイントとして示しました。舌骨上筋群のみ活動させる方法としては、ターゲットポイントを明確にしてその1点を押し付けてもらうことです。ターゲットポイントは小さい方が良いです。舌の特定の場所というより、1点を押すという動作が舌骨上筋群に集中的な活動を得ることができます。舌の場所は中間から前方にかけて示すと行いやすいです。今回は、多くの筋が同時収縮し目的としていた訓練が少ししかできないという状況を減らすために、舌骨上筋群の筋活動のみ活動させる方法を選択することが大切ということを理解ください。


4.頭部挙上訓練は自動運動でないと効果がないでしょうか。

 セミナーで表面筋電バイオフォードバック機器を用いた意味がこの点にあります。臨床では、全員頭部挙上できる方ばかりではありません。しかし、言語聴覚士としては少しでも舌骨上筋群の筋力向上へのアプローチをしたい場合があります。言語聴覚士がアシスト(介助)しながらでも少しづつ訓練を行っていきたい、そんなときがあるでしょう。そのようなときには、表面筋電バイオフォードバック訓練機器を用いることで舌骨上筋群の筋活動を可視化することができます。言語聴覚士が表面筋電機器を見ながらアシスト(介助)の程度を変化させて少しづつ筋力強化を図っていく。こんなことが可能になると思います。表面筋電機器がなくてもアシスト(介助)を少しづつ減らすことで筋力向上訓練となっています。また、頭部挙上訓練で胸鎖乳突筋が活動していけないということではありません。その分早く疲労することが考えられますので、負荷量や休憩をとる頻度等を検討する指標になります。


5.姿勢はどのように考えればよいでしょうか。

 セミナーで行いましたように体幹の角度以上に、①頸部の位置、②足底の接地などが口腔運動に影響を与えます。言語聴覚士として大切なのは、口腔運動や力はどんな状況でも常に一定のパフォーマンスではないという点です。リハビリテーションテクニックを行う際に、頭の隅にそのような理解があるだけで、本人がその姿勢の状態で最大のパフォーマンスをえられるようにすることを考えられるようになります。


6.表面筋電バイオフォードバック訓練機器がない場合、何か方法はありますでしょうか。

 自身の手で筋の収縮を触知して、収縮力を確認しながら行うことができると思います。ただし、日々色々な方を触知しておくなど、経験が必要と思います。


7.今回使用された表面筋電バイオフォードバック訓練機器の使用方法や設定方法、電極を貼る場所など、詳しく学びたいのですが。

 今回多くのご質問を頂きましたので、また機会を頂いて、①機器の説明、②機器の設定方法、③訓練適応、④訓練プログラムと方法、⑤電極と貼付位置、⑥リスクマネジメント などについて講習会を開催したいと考えています。




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